日本心臓血管外科学会雑誌
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遠位弓部大動脈瘤に対する補助手段の選択と問題点
末田 泰二郎渡橋 和政川上 恭司松浦 雄一郎
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1994 年 23 巻 5 号 p. 334-339

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抄録
最近5年6か月の間に経験した遠位弓部大動脈瘤は17例であった. 内訳は真性瘤13例, III型解離性動脈瘤でエントリー部が嚢状となったもの4例であった. 17例中3例が破裂瘤であった. 手術補助手段として用いたのは遠心ポンプによる左心バイパス法 (LHB) 6例, 逆行性脳灌流法 (RCP) 5例, 選択的脳灌流法 (SCP) 6例であった. LHBは左鎖骨下動脈を含みそれより遠位側大動脈に瘤が存在する症例に, 左総頸動脈との間で大動脈を遮断して用いた. 手術死亡例はなかったが, 脳梗塞2例を認め, うち1例が入院死した. RCPは限局型の嚢状瘤や破裂緊急例に用いた. 最近の3例にはPCPS回路を用いて, 循環停止を併用して左開胸のみで, 無遮断下に手術を行った. SCPは弓部にまで病変の及んだ症例に用いて, 6例中 (弓部全置換4例) 1例を失った. 瘤の形態, 広がり, 緊急性により補助手段を使い分けた.
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