抄録
腹部アンギーナのー症例に血行再建術を施行し良好な結果をえたので報告する. 症例は75歳, 女性で, 食後の下腹部痛, 体重減少を主訴とし来院した. 上腹部にスリルを触れ血管雑音を聴取した. 腹部大動脈造影検査では腹腔, 上腸間膜および下腸間膜動脈は根部で閉塞しており, 内腸骨動脈から側副路を介し下腸間膜, 上腸間膜動脈が造影されていた. 腎動脈下の大動脈に壁不整があり, 内腸骨動脈にも有意の狭窄病変を認めることから血行再建術を施行した. Gore-Tex グラフトを用い腹腔動脈直上の腹部大動脈から上腸間膜動脈にバイパスし, ついで Gore-Tex グラフトに自家静脈の側枝をつけ腹腔動脈にバイパスした. 術後造影で Gore-Tex グラフトは開存していたが自家静脈グラフトは閉塞していた. 術後, 食後の下腹部痛は全く消失し, 約8kgの体重増加を認めた.