日本心臓血管外科学会雑誌
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体外循環中の肝および腸管循環に関する臨床的検討
市川 秀昭石川 進国元 文生高橋 徹津田 京一郎大滝 章男坂田 一宏相崎 雅弘佐藤 泰史森下 靖雄
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1994 年 23 巻 6 号 p. 389-394

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抄録
臨床例において, 体外循環 (ECC) 中および術後早期の動脈血, 肝静脈血中の酸素飽和度 (SaO2, ShvO2), ケトン体比 (AKBR, HVKBR), エンドトキシン濃度より, 肝および腸管循環を検討した. ShvO2はECC終了直前に平均40%と術前の70%に比べて有意に (p<0.002) 低下し, 同時期の混合静脈血との差が開大する傾向にあった. ECC中のAKBRは平均0.34と低かったが, ECC終了後より速やかに前値に復した. 血中エンドトキシン濃度は動脈血, 肝静脈血ともに第1病日より上昇する傾向にあった. ECC終了60分後のShvO2が50%以上に回復しない症例は, 術後の肝逸脱酵素値が高く, 肝機能障害との関連が示唆された. 肝静脈血の分析はECC中の肝循環の動態を推定するのに有用で, その際ShvO2の低値が遷延化するのを防ぐ工夫が必要である.
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