日本心臓血管外科学会雑誌
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心臓血管手術後の抗凝固療法として用いたアルガトロバンの使用経験
乗田 浩明樗木 等中村 京一
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1994 年 23 巻 6 号 p. 395-398

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抄録

心臓血管手術後の抗凝固療法として選択的抗トロビン剤であるアルガトロバンを用いて臨床的検討を行った. 1992年1月から12月までの28症例に対し, 手術直後よりアルガトロバンを持続点滴にて投与開始し, activated coagulation time (ACT) 170~200秒を目標に適宜増減した. アルガトロバンの平均投与量は0.482±0.26μg/kg/minで, 投与時間は平均64.5時間であった. ACT値のコントロールは良好で, 投与量は投与開始後数時間で安定した. プロトロンビン時間および活性化部分トロンボプラスチン時間の活性は投与後49%, 36%と有意に抑制されたが投与終了翌日にはほぼ正常に復した. トロンビン・アンチトロンビンIII複合体は術後35μg/lと高値であったが, 投与後4時間で, 14μg/lと有意に低下した. 術後, 異常出血をきたすことはなかった. アルガトロバンは心臓血管手術後早期の確実な抗凝固療法剤として信頼しうるものと思われる.

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