日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢閉塞性動脈硬化症例に対するアームエルゴメーター負荷法による虚血性心疾患のスクリーニングとその外科治療法の選択について
東 健一郎広瀬 一松本 興治
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1995 年 24 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

下肢閉塞性動脈硬化症 (ASO) の外科治療時, 虚血性心疾患 (IHD) の合併が問題となる. 今回ASO例における, (1)アームエルゴメーター負荷 (Arm E) 法を用いたIHDのスクリーニング法と, (2)IHD合併例における Leaman らの coronary score (CS) を用いた外科治療法選択の有用性について検討した. Arm E法と冠動脈造影 (CAG) を施行したASO24例を対象とした. IHDの合併は24例中16例(67%) に認めた. (1): Arm E法の感度は94%, 特異度75%, 正確度88%であった. (2): 次に外科治療法の選択を検討した. CS16以上の3例は, 冠動脈と下肢の血行再建術を一期的に施行した. CS5.5以下の12例は, 下肢血行再建術のみを施行した. この治療方針にて, 周術期にIHDに基づく合併症を認めなかった. 以上より, ASOの外科治療時, IHDのスクリーニング検査法として, Arm E法は有用な方法と考えられた. またその結果に基づく外科治療法の選択により, 良好な結果を得た.

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