日本心臓血管外科学会雑誌
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低出力炭酸ガスレーザーによる中口径血管吻合の実験的研究
田中 修古瀬 彰
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1995 年 24 巻 3 号 p. 161-169

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抄録
低出力炭酸ガスレーザーによる雑種成犬の中口径血管吻合実験を行った. 焦点より10mm遠位での defocused beam 照射法を採った. 至適出力は動脈160~200mW, 静脈120~160mWで照射時間はともに5~10sec/mmであった. 吻合成功率は動脈の短軸切開吻合44%, 長軸切開吻合62%で静脈ではそれぞれ65%, 95%であった. 耐圧は平均値で動脈102mmHg, 静脈77mmHgであったが, シアノアクリレートによる吻合部の防護により耐圧能はそれぞれ300mmHg以上, 100mmHg以上に上昇した. 観察しえた9か月後までに血栓付着, 狭窄, 閉塞および感染はみられなかったが, 1例(1%)の吻合部動脈瘤を認めた. 血管内視鏡, 走査電子顕微鏡で観察した急性期から3か月までの良好な局所所見と光顕的組織所見からシアノアクリレート併用レーザー吻合の臨床応用への有用性を確認した.
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