抄録
低出力炭酸ガスレーザーによる雑種成犬の中口径血管吻合実験を行った. 焦点より10mm遠位での defocused beam 照射法を採った. 至適出力は動脈160~200mW, 静脈120~160mWで照射時間はともに5~10sec/mmであった. 吻合成功率は動脈の短軸切開吻合44%, 長軸切開吻合62%で静脈ではそれぞれ65%, 95%であった. 耐圧は平均値で動脈102mmHg, 静脈77mmHgであったが, シアノアクリレートによる吻合部の防護により耐圧能はそれぞれ300mmHg以上, 100mmHg以上に上昇した. 観察しえた9か月後までに血栓付着, 狭窄, 閉塞および感染はみられなかったが, 1例(1%)の吻合部動脈瘤を認めた. 血管内視鏡, 走査電子顕微鏡で観察した急性期から3か月までの良好な局所所見と光顕的組織所見からシアノアクリレート併用レーザー吻合の臨床応用への有用性を確認した.