日本心臓血管外科学会雑誌
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胸部と腹部に重複した梅毒性大動脈瘤の一期的手術例
戸部 道雄近藤 治郎井元 清隆平野 克典鈴木 伸一田辺 浩悌松本 昭彦
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1995 年 24 巻 3 号 p. 197-200

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抄録
最近では比較的まれな梅毒性大動脈瘤の1例を経験した. 症例は72歳の女性で胸部異常陰影と腹部拍動性腫瘤を主訴とし, 梅毒反応はTPHAが160倍と強陽性であった. 血管造影では胸部下行大動脈と腎動脈下の腹部大動脈の重複大動脈瘤であり, さらに左総腸骨動脈瘤も合併していた. 胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤にそれぞれ人工血管置換術を一期的に施行した. 瘤壁の組織学的検索では中膜と外膜に慢性大動脈炎を示唆する所見を認めた. 重複大動脈瘤は今後も増加が予想されるが, 手術時期としては, 残存瘤の破裂の懸念がない一期的手術が好ましい. その際には手術術式, 補助手段等の面からの安全性の確認とともに, 全身状態を考慮した治療方針の決定が望ましい.
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