日本心臓血管外科学会雑誌
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間歇性跛行肢の治療法選択に関する研究
蜂谷 貴阪口 周吉金子 寛小谷野 憲一馬場 正三
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1995 年 24 巻 5 号 p. 290-298

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抄録

間歇性跛行に対する治療法選択を模索するため各種治療法の遠隔予後を検討した. 間歇性跛行を主訴とする閉塞性動脈硬化症 (ASO) 219例を血行再建群170例と保存療法群49例に分け, 経過中に間歇性跛行を呈したバージャー病 (TAO) 55例を血行再建群17例, 腰交切群15例, 保存療法群23例に分けた. 両疾患の背景因子, 跛行症状と治療後の変化, QOLの改善度および生命予後を比較した. その結果ASO患者では跛行症状の改善率は血行再建群が有意に良好で (p<0.001) これに相関してQOLおよび生命予後も向上した (p<0.01). 一方TAO患者の跛行改善率は3群間でほぼ同等であった. これらは両疾患の背景因子の差から起こるものと考えられ, 今後は両疾患を分けて間歇性跛行の治療方針を論議し決定する必要がある. ASOでは血行再建術を第一選択とし, TAOでは保存療法を行い無効例に手術療法を選択するのがよい.

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