日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
人工心肺下開心術における顆粒球エラスターゼ, フィブロネクチンが凝固線溶系に与える影響
尾崎 直近藤 治郎蔵田 英志井元 清隆戸部 道雄坂本 哲松本 昭彦
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 25 巻 1 号 p. 26-30

詳細
抄録
人工心肺 (CPB) 下開心術により顆粒球エラスターゼ (GEL), フィブロネクチン (FN) が凝固線溶系にどのように影響を与えるか検討した. CPB開始前 (Pre), CPB直後 (Post), 術後1日 (PD1), 術後2日 (PD2) で採血し, GEL, FN, フィブリノーゲン (Fib), プロトロンビン時間 (PT), FDP, Dダイマー (D-D), プラスミン・プラスミンインヒビター複合体 (PIC), アンチトロンビンIII (AT III) を測定した. GELは Post で最高値, FNは Post で最低値を示した. Post で Fib, PT, AT IIIが最低値, PICが最高値を, PD1でFDP, D-Dが最高値を示した. CPB時間とPD1のGELと正の相関を示した. GELとD-Dの関係は Post, PD1, PD2で正の相関を示した. また, GELとPICはPD1において正の相関を示した. 以上よりCPBによりGELが増加し, FNが低下した. GELはCPB時間が関与しているものと推察され, D-D, PICの線溶系因子, 特に2次線溶に影響を与えるものと思われた.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top