日本心臓血管外科学会雑誌
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Fontan 型手術に対する術後低体温管理法の応用と問題点について
大野 英昭今井 康晴星野 修一石原 和明中田 誠介瀬尾 和宏三隅 寛恭寺田 正次竹内 敬昌新岡 俊治
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キーワード: Fontan 手術, 術後管理, 低体温
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1996 年 25 巻 1 号 p. 7-12

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抄録
1974年から1991年までに Fontan 型手術を受けた182例中, 術後急性期に低体温管理法を施行し生存した16例 (S群) と死亡した9例 (D群) に分け比較検討を行った. 両群間で術前の肺循環指数および腎機能に有意差はなかった. 最低直腸温は平均32℃(31~34℃) であった. 復温に伴いS群ではPaO2および体重当りの1日尿量が有意に増加し, CVPは有意に低下し循環動態の改善を示した. 腎機能についてはS群ではPDの有無にかかわらず全例尿量の改善を示したが, D群では低体温導入後平均2日 (0~4日) で無尿をきたした. 4日目にはS群と比較し有意に1日尿量の低下 (33.1ml/kg/日) を示した. しかし無尿後数時間で take-down した2症例は救命できた. Fontan 型手術後の重症患者に対し低体温管理は急性期の補助手段として有用であり, 特に低体温導入後3日間の体重当りの1日尿量が循環動態の指標として最も重要と思われる.
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