抄録
症例は修正大血管転位, 心室中隔欠損, 肺動脈閉鎖の2例で, non-confluent となった肺動脈に対して共に5歳時に左肺動脈再建を施行した. おのおの13mmと12mmの異種心膜ロールを葉間を開けて左肺動脈に吻合し, 肺門直上を通して心膜に接して固定し左鎖骨下動脈または上行大動脈からおのおの径5mmと6mmの人工血管で肺血流を確保した. 術後おのおの10か月目, 2年目に根治術を施行した. {SLL}例では再建した心膜ロールを左横隔神経の後方を通して中心肺動脈を再建した後, 3弁付き異種心膜ロールを用いて左室から肺血流路を作成した. {IDD}例では左上大静脈の前方に心膜ロールを通し大動脈の後方で右肺動脈と吻合し中心肺動脈を再建した. VSDは経右房的に左室側からパッチ閉鎖した. 術後LV/RV比はおのおの0.4, 0.35に低下し, 術後経過は良好である.