日本心臓血管外科学会雑誌
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肺動脈低形成例に対する姑息的右室流出路再建術における流出路径設定の基準に関する検討
関口 昭彦島田 宗洋永峯 哲弘
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1996 年 25 巻 5 号 p. 295-299

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抄録
姑息的右室流出路再建術における流出路径の設定には従来明快な基準が示されていない. そこで本術式を施行した17例で, この点に関して検討した. 疾患はファロー四徴症 (TOF) 7例, TOF兼肺動脈閉鎖8例, TOF兼完全型心内膜床欠損1例, 両大血管右室起始兼肺動脈狭窄1例であった. 術式は弁論を越えるパッチ7例, 心外道管5例, 弁輪を越えないパッチ3例, その他2例. 再建流出路径の正常弁輪径に対する比率は平均0.91, 術前後のPAIの比で表した肺動脈成長率は平均2.14であった. 流出路径の正常径に対する比率と肺動脈成長率との間, および術後Pp/Psと肺動脈成長率との間には有意な相関はなかった. しかし流出路径が正常径の9割を越えた症例では有意に術後Pp/Psが高値を呈した. 一期的根治を行ったTOF9例の流出路径の正常弁輪径に対する比率は平均0.59であった. 以上より本術式における流出路径の指標は正常弁輪径の6割から8割が妥当と考えられた.
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