教室にて外科治療を施行した下肢の慢性静脈不全症例103例174肢を, 皮膚症状を有する51肢 (C
4~6) と有さない123肢 (C
2,3群) とし, 術前の下肢の血流状態と外科治療成績について比較検討した. 脈波上, C
4~6群はC
2,3群に比し, 最大静脈還流量は高値, 再充満時間は有意に短縮していた(
p<0.05). Duplex scanning では, C
4~6群はほとんどの例で大伏在静脈に逆流を有しており, その逆流速度, 逆流量はC
2,3群の大伏在静脈の逆流例に比べ有意に高値を示した (
p<0.05~0.01). C
4~6群は, 深部静脈に逆流を伴うものが45%を占め, 23肢に深部静脈の内視鏡下弁形成術を施行したが, 平均22か月の遠隔において症状再発例は見られていない. 静脈鬱滞症状を呈する静脈不全では, 逆流病変が深部静脈を含め複数病変に及び, 表在性静脈の逆流の確実な遮断, 深部静脈の弁形成を含めた多分節的な逆流遮断手技が必要と考えられた.
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