日本心臓血管外科学会雑誌
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閉塞性動脈硬化症の危険因子
虚血性心疾患との比較
大木 聡熊倉 久夫丹下 正一市川 秀一大山 良雄石川 進森下 靖雄
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1997 年 26 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

閉塞性動脈硬化症 (ASO) の発生に関与する要因を明らかにするために, ASO163例 (男性137例, 女性26例) を対象に動脈硬化の危険因子を検討し, 虚血性心疾患 (IHD) 54例 (男性45例, 女性9例) の結果と比較した. ASOでは男女比が約5対1と男性が圧倒的に多かった. また, IHDと比べると,より高齢で, 高血圧, 脳血管疾患を合併するもの, 喫煙者が有意に多かった. ASOのうち合併症を有さないものでは, 有するものに比べて, remnant-like particles cholesterol (RLP-C) がより高い傾向にあった. また, lipoprotein-(a) (Lp(a)) はIHDよりASOで高い傾向にあった. ASOの危険因子として, 男性, 加齢, 喫煙, 高血圧, 脳血管疾患が重要であり, IHDよりもこれらの危険因子は重要である. 一方, 血清脂質異常もASOの発生, 進展に関与する可能性はあるが, その意義は今回の結果を考えるとき, IHDにおけるほど重要でない.

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