抄録
1961年から1994年までに治療を行ったB型大動脈解離症例121例について急性期症例と慢性期症例, 内科治療群と外科治療群に分け, 早期成績と遠隔期成績について検討した. 急性期症例については早期血栓閉塞型と解離腔開存型に分け, 遠隔成績を検討した. 急性期症例の内科治療群の5年生存率は早期血栓閉塞型で94.4%と良好であったが, 解離腔開存型では63.7%まで低下した. 発症から2年間の生存率の低下が著明であった. 慢性期手術症例の13.3%を術後早期に失ったが, これらを含めた5年生存率は64.4%で解離腔開存型の内科治療成績とほぼ同等であった. B型大動脈解離に対しては, 早期血栓閉塞型は内科治療を, 解離腔開存型は亜急性期あるいは慢性期早期の外科治療が予後を改善すると考えられた.