日本心臓血管外科学会雑誌
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Y型人工血管置換術後遠隔期に発症した下肢虚血を伴う急性大動脈解離の経験
原 陽一黒田 弘明石黒 真吾浜崎 尚文宮坂 成人森 透
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1997 年 26 巻 6 号 p. 396-399

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抄録
Y型人工血管置換術後遠隔期に発症した下肢虚血を合併した DeBakey I型急性大動脈解離を2例経験した. 症例1は63歳女性, 55歳時に腹部大動脈瘤にて, 症例2は Marfan 症候群の28歳男性, 21歳時に腹部大動脈瘤の破裂にてY型人工血管置換術をうけ, 今回I型解離を発症し来院. 上行大動脈に entry を有し, 解離はY型人工血管中枢側吻合部まで進展, 偽腔が真腔を圧排し下肢虚血を合併していた. 発症より8時間, 6時間に手術を施行した. 症例1は術中破裂にて失ったが, 症例2は大動脈基部~弓部全置換を行い救命した. Y型人工血管置換術後遠隔期の急性大動脈解離の発症は稀で, 下肢虚血を合併した報告例はない. 術前の血行動態について考察するとともに, 補助手段, 術中モニターについて報告した.
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