1998 年 27 巻 1 号 p. 11-18
Continuous warm blood cardioplegia (CWBC) が術中心筋好気性代謝に与える影響について cold crystalloid cardioplegia (CCC) を対照として比較検討した. 36例のCABG患者を2群に分けた. CWBC群 (21例) とCCC群 (15例) で術中に動脈血と冠静脈洞血を採取して心筋嫌気性代謝の指標を測定し, 乳酸摂取率, 過剰乳酸値, 酸化還元位較差を算出した. 心筋酸素代謝の指標として大動脈遮断解除後から体外循環離脱後5分までの冠静脈洞血中酸素飽和度 (ScsO2) を持続モニタリングした. 両群で術後第2病日までのCK, CKMBを測定した. ScsO2値はCWBC群のほうが高値であった. 嫌気性代謝の指標では乳酸摂取率, 過剰乳酸値, 酸化還元電位較差は両群間に差はなかった. CK, CKMB値はCWBC群のほうが低値であった. これよりCWBC群は心筋酸素代謝や心筋逸脱酵素においてCCC群より優れた結果を示し, 嫌気性代謝ではCCC群と同等の結果を残した.