日本心臓血管外科学会雑誌
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末端肥大症に合併した不安定狭心症の1手術例
山村 光弘宮本 巍山下 克彦佐賀 俊彦八百 英樹安岡 高志井上 和重南村 弘佳和田 虎三河中 正裕
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1998 年 27 巻 2 号 p. 100-103

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抄録
患者は65歳・女性, 8年前より末端肥大症を指摘されるも放置していた. 1994年4月に急性心筋梗塞にてPTCA (#6, #11) を施行された. 同年8月より胸痛発作が頻回となりCCUに入院, CAGにて#6完全閉塞, HL75%, #11 75%と再狭窄および冠状動脈病変の進行を認めた. 同年9月27日緊急CABG3枝 (LITA-LAD, SVG-HL-Cx) を施行した. 術前成長ホルモン (growth hormone, 以下GHと略) は65.5ng/ml (正常値5ng/ml以下) で, 人工心肺中は92.7ng/mlまで上昇したが, 手術終了時には15.9ng/mlに減少した. しかし第3病日より再度上昇し術後2週目には125ng/mlと最高値を示した. それに伴い血糖値のコントロールも不安定となり, 術後はブロモクリプチンの増量を必要とした. 末端肥大症に合併した不安定狭心症は極めてまれである. 術中・術後GHの変化には定説はないが2次性糖尿病からみても周術期のGHのコントロールが肝要であると思われる.
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