抄録
1988~1997年の破裂性腹部大動脈瘤35例の手術成績を検討した. 平均年齢69.9歳, ショック19例, 意識障害9例, 瘤径平均79mm, Hb値平均9.1g/dlであった. 大動脈遮断は胸腔内3例, 腎動脈上6例, バルーン閉鎖4例, 腎動脈下22例であった. 1994年以降は周術期に心筋虚血対策と早期持続血液透析を積極的に行った. 病院死亡は7例 (20%) で死因は術中心停止1例, 多臓器不全4例, 肺炎・敗血症2例であった. 病院死亡の単因子解析では術前意識障害 (p=0.033) と心電図異常(p=0.018), ショック持続5時間以上 (p=0.019) が有意な危険因子で多変量解析では心電図異常(p=0.065), ショック持続5時間以上 (p=0.084) が予後悪化傾向を示し術前の重篤な血行動態破綻を示すと思われた.