日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術の有用性
従来の人工血管置換術との比較
島崎 太郎石丸 新川口 聡小泉 信達横井 良彦
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1999 年 28 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

腎動脈下腹部大動脈瘤で待機的にステントグラフト内挿術を施行した21例 (SG群) と, Y型人工血管置換術を施行した69例 (OS群) を対象として手術成績を比較検討した. SG群の成功率は21例中16例 (76%) で, 術後2週以内に瘤内血栓化を得た. 入院死亡はSG群で2例 (10%), OS群では1例 (1%) にあり, 死亡率では有意差はみられなかった. 手術時間および出血量は, SG群が各々242分と427mlで, OS群の各々354分, 1,178mlに比し有意に小さかった (p<0.01). また, 経口摂取はSG群で早期に開始することができた. ステントグラフト内挿術は低侵襲であるが, 現時点では確実性の面で人工血管置換術に及ばず, 症例を選び施行するべきであると思われた.

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