日本心臓血管外科学会雑誌
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二葉弁血栓弁に対する血栓溶解療法の検討
松山 南律麻田 邦夫近藤 敬一郎小玉 敏宏蓑原 靖一良長谷川 滋人澤田 吉英岡本 順子衣笠 誠二岡本 健佐々木 進次郎
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1999 年 28 巻 1 号 p. 39-43

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抄録
1981年1月から1996年12月までに, 二葉弁を用いて僧帽弁置換あるいは三尖弁置換を行った281例中10例 (僧帽弁位7例, 三尖弁位3例) に血栓弁を認めた. 血栓弁の原因は, ワーファリン内服不規則1例, 合併疾患などのため内服中止4例, 原因不明5例であった. ウロキナーゼまたは組織プラスミノゲンアクチベータ (tissue Plasminogen Activator; 以下tPA) を用いた血栓溶解療法を行い, 有効5例 (僧帽弁位4例, 三尖弁位1例), 無効5例 (僧帽弁位3例, 三尖弁位2例) であった. 僧帽弁位無効例に再僧帽弁置換術を行ったが, 2例をLOSにて失った. 三尖弁位無効例の1例に血栓除去術を行い, 残り1例は症状なく経過観察中である. 血栓弁の治療は手術が原則であるが, 二葉弁弁葉の固定位置によっては急激な循環動態の悪化を生じない場合もあり, 血栓溶解療法が有効な症例もあると考える. また, 血栓弁の早期診断にドプラー心エコー法が有効であった.
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