日本心臓血管外科学会雑誌
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心尖部心筋内膿瘍を合併した僧帽弁感染性心内膜炎の1治験例
加藤 泰之村田 紘崇北井 公二安岡 高志向井 資正
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1999 年 28 巻 2 号 p. 101-104

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抄録

心尖部に限局性に膿瘍を合併した僧帽弁感染性心内膜炎は非常に稀と考えられ報告する. 症例は49歳, 男性. 高血糖による意識障害のため精査. 加療目的にて入院. 翌日前胸部痛, 頭痛が出現し, 心エコーにて僧帽弁前尖に疣贅とIII/IIIの僧帽弁逆流を, また頭部CTにて多発性脳出血を認め, 感染性心内膜炎による脳塞栓, 脳出血を発症したと思われた. 心不全の進行のため入院10日目に手術を施行した. 心尖部心筋層内に限局性に膿瘍が形成されており, 膿瘍腔と心内腔とは交通していなかった. 僧帽弁置換術と膿瘍腔切除を施し, 心尖欠損部は8×5cmの Goretex patch にて修復した. 血液, 疣贅, 膿瘍の培養は陰性であった. 心尖部に膿瘍が形成された原因として, 脳出血と胸痛が同時に出現したこと, 心内腔と交通がなかったこと, 限局性であったことから, 疣贅による冠動脈塞栓により感染が波及したと考えられた.

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