日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術におけるステロイド投与症例の検討
山村 光弘宮本 巍山下 克彦八百 英樹井上 和重和田 虎三田中 宏衛良本 政章
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1999 年 28 巻 2 号 p. 78-81

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抄録

術前1カ月以上のステロイド投与開心術症例13例を対象とした. 男性4例・女性9例, 年齢は12~80歳 (平均61歳), ステロイド治療対象疾患は膠原病3例・気管支喘息2例と大動脈炎症候群・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間血色素尿症・脳腫瘍・蕁麻疹・紅斑性天疱瘡・尋常性乾癬・腎移植術後それぞれ1例であった. 術式はACバイパス術9例, MVR・reMVR・AVR・心房中隔欠損孔パッチ閉鎖術それぞれ1例であった. 術前投与量 (以下プレドニゾロン換算) は平均9.4mg/日, 投与期間は平均4年11カ月であった. 緊急手術を除く8例に術前 rapid ACTHテストを施行し, 副腎機能低下は5例 (63%) 認めた. 術中は人工心肺充填液中リンデロン®4mg/kg添加 (通常例と同量) に加え, 麻酔前または人工心肺前にもソルコーテフ®ないしソルメドール®を25~1,250mg追加投与し, 術中ステロイド投与総量は平均2,488mgであった. 術後は全例ステロイド投与を継続し以後漸減した. 手術死はMVR後左室破裂の1例で, 主な術後合併症は心タンポナーデ・一過性痙攣発作・創部感染・腰椎骨折がそれぞれ1例であった. 今後も感染防止および出血に留意し, 術中および術後のステロイド投与は慎重かつ必要最少量にとどめる必要があると思われる.

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