日本心臓血管外科学会雑誌
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総動脈幹遺残症外科治療の経験
総動脈幹弁逆流, 狭窄の問題点を中心に
滝口 信原田 順和竹内 敬昌
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1999 年 28 巻 3 号 p. 188-191

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抄録

われわれはこれまでに総動脈幹遺残症 (TrA) 5例の外科治療を経験した. 手術時体重は2.4~5.71 (平均3.47)kg, 手術時日齢は6~133 (平均38.2日) であった. TrAは全例 Collet & Edwards 分類のI型であった. 4例に Barbero-Marcial 法を施行した. 術前の総動脈幹弁閉鎖不全症 (TrVR) が心エコーにて moderate で播種性血管内凝固症 (DIC) を合併したショック状態に陥った1例を急性期に失った. 術前の心エコーでTrVRが mild 以下の症例では手術死亡はなかった. TrVRが moderate 以上でかつ狭窄症を伴っていた1例は同種大動脈弁を用いた弁置換術を施行し, その後の人工弁置換術までのつなぎ役として良好な役割を担った. 弁修復術を施行しなかった症例に対しては, 術後遠隔期のTrVRの発症に留意した厳重な経過観察が必要である.

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