日本心臓血管外科学会雑誌
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全身性エリテマトーデス合併腹部大動脈瘤の1手術治験例
松元 仁久湯田 敏行上野 隆幸久 容輔森山 由紀則平 明
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1999 年 28 巻 3 号 p. 201-204

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抄録
全身性エリテマトーデスでの大血管病変の報告は稀である. 本疾患で23年の治療歴を持ち, 腹部大動脈瘤を発症した1例を経験した. 症例は49歳女性. 26歳時に全身性エリテマトーデスと診断され, ステロイド療法を開始され, 28歳時にループス腎炎と診断された. 内科外来通院中に腹部大動脈瘤を指摘され, 手術を行った. 動脈瘤は腎下型で最大径7cm, 長径8cm, 周囲との癒着はなかった. 動脈瘤壁は薄く, 一部石灰化し, 厚い壁在血栓を伴っていた. 直型人工血管で置換し, 術後経過良好で現在復職している. 動脈瘤壁の病理診断は動脈硬化性大動脈瘤であった. 全身性エリテマトーデス患者は炎症性疾患であるが, 動脈硬化が進行しやすいという側面も持っており, 比較的若年で動脈硬化性の大動脈疾患を発症する可能性があり, この点を念頭に置いた経過観察が必要である.
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