日本心臓血管外科学会雑誌
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内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後の縦隔炎の発生因子と治療
とくに糖尿病について
増田 善逸畑 隆登津島 義正松本 三明濱中 荘平吉鷹 秀範藤原 恒太郎袖長 安積古川 博史南 一司
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2000 年 29 巻 1 号 p. 5-9

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抄録
内胸動脈 (IMA) を使用した冠動脈バイパス術 (CABG) 後の縦隔炎について検討した. 過去5年間における当施設での単独CABGは400例であり, その内IMA使用の386例を対象とした. 両側, 片側IMA使用群はおのおの97例, 289例であった. 縦隔炎を (1) 創傷治癒遷延, (2)-(1)創部表層感染と(2)-(2)創部深層感染 (狭義の縦隔炎) に分類した. 狭義の縦隔炎は認めず, 両側, 片側IMA使用各群における縦隔炎の発生率は, おのおの7.2% (7例), 7.3% (21例) であり, 初回, 再手術症例においても有意差を認めなかった. 縦隔炎の発生率は, 糖尿病患者かつ両側IMA使用群では,12.0% (4/33), 片側IMA使用群では, 12.0% (14/117) であり有意差を認めなかった. 同様に非糖尿病患者かつ両側IMA使用群では, 4.7% (3/64), 片側IMA使用群では, 4.1% (7/172) であり有意差を認めなかった. 各IMA使用群において, 糖尿病の合併は非合併の約3倍の創傷治癒遅延の発生率の増加傾向を認めた.
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