日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈周囲に膿瘍を形成した感染性腹部大動脈瘤の1治験例
末永 悦郎伊藤 翼須田 久雄池田 和幸
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2001 年 30 巻 2 号 p. 68-70

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抄録

感染性腹部大動脈瘤は腹部大動脈瘤の3%にあるといわれるが, その早期診断はしばしば困難で術後の病理診断によるところが多い. 今回われわれは動脈径の拡張を認めず周囲に膿瘍形成を伴った急性期感染性腹部大動脈瘤の1症例を経験し解剖学的血行再建術を施行し良好な結果を得たので報告する. 症例は59歳男性, 発熱と腹痛を主訴に近医入院し腹膜炎を疑われ抗生剤の点滴にて治療中であった. 経過中CTにて腹部大動脈周囲に膿瘍を認め腹痛が増強するため当科紹介入院となった. 造影CT所見では腹部大動脈周囲に low density area を認め大動脈壁は不整で一部造影剤の突出像を認め感染性腹部大動脈瘤の切迫破裂と診断し同日, ただちに緊急手術を施行した. 再建は人工血管を用い解剖学的に行った. 術中迅速細菌検査にて採取した膿汁よりサルモネラ菌が検出された. 術後強力な抗生剤による治療で経過は良好であった.

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