日本心臓血管外科学会雑誌
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腎癌摘出術中に発生した急性肺塞栓に対する緊急手術の1例
術中経食道エコーおよび血管内視鏡の有用性
鈴木 友彰田中 國義河井 秀仁渡辺 文亮近藤 智昭小野田 幸治高尾 仁二下野 高嗣新保 秀人矢田 公
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2001 年 30 巻 5 号 p. 274-276

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抄録
症例は73歳, 女性. 下大静脈内に腫瘍栓を有する右腎癌の手術中に腫瘍栓が遊離し血中を移動した. 術中経食道エコーにて右室内にとどまる腫瘍栓を認めたため緊急開心術となった. 体外循環下に右房を切開し, 右心系を検するに腫瘍栓はなく, さらに末梢に移動したと考えられた. 主肺動脈を縦切開し, そこから胆道鏡を用いて術中血管内視鏡を施行し, 右下肺動脈分枝部に陥入している腫瘍塞栓を認めた. 心嚢外で右肺動脈を切開し, 直視下に腫瘍を摘除, 肺梗塞を回避, 救命できた. 術中に起こった肺塞栓症に対し, 経食道エコー, 血管内視鏡はその部位診断, 手術の補助手段としてきわめて有効であった.
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