日本心臓血管外科学会雑誌
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カテーテル挿入による末梢血管損傷の検討
大腿部穿刺例を中心に
矢野 浩己小長井 直樹前田 光徳伊藤 幹彦松丸 泰介工藤 龍彦三坂 昌温石丸 新
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2002 年 31 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

1991年1月より2000年12月までに手術を行った,カテーテル挿入による末梢血管損傷30例を対象とした.内訳は仮性動脈瘤19例(63.3%),動静脈瘻6例(20%),出血3例(10%),血栓閉塞1例(3.3%),仮性動脈瘤+動静脈瘻1例(3.3%)であり,穿刺口縫合閉鎖術を26例(86.6%)に,動脈結紮術を2例(6.6%)に,血栓除去術+PTA(percutaneous transluminal angioplasty)と瘤切除術をおのおの1例(3.3%)に施行した.患者は,既往症に糖尿病や高血圧をもつ頻度が高い傾向にあった.術後は2例に創部感染を起こし二次縫合を要したが他の合併症は認めなかった.仮性動脈瘤は中枢側動脈の遮断と指による圧迫で安全に縫合閉鎖しえた.動静脈瘻は積極的な外科治療で合併症なく治癒しえた.出血,血栓閉塞は迅速な対応が必須である.本症の発生予防のためには的確な穿刺とカテーテル抜去後の確実な圧迫止血が何よりも励行されるべきである.

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