日本心臓血管外科学会雑誌
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先天性心疾患における低侵襲アプローチ(MICS)の標準術式としての妥当性
西 宏之西垣 恭一久米 庸一宮本 勝彦
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2002 年 31 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

小正中皮膚切開,胸骨部分正中切開による低侵襲アプローチ(MICS)の標準術式としての妥当性について,レジデント群(R群)とスタッフ群(S群)に分類して検討を行った.過去3年に当科で施行したMICSによる心房中隔欠損(ASD)42例(R群15例,S群27例),心室中隔欠損(VSD)47例(R群6例,S群41例)に関して,各項目(手術時間,体外循環時間,心停止(または心室細動)時間,術後挿管時間,ICU滞在日数,術後入院日数,術後ドレーン排液量,術後最高CRP値,術後最高白血球数,皮膚切開長(cm)/身長(m))について比較検討した.手術時間,体外循環時間,VSDの大動脈遮断時間はS群が有意に低値であった(p<0.05)が,他の因子に関しては両群間に有意差を認めなかった.小皮膚切開,胸骨部分正中切開によるMICSはASD,VSDにおいて時間因子以外は術者による術後経過の差を認めず,一部の症例を除けば標準術式として妥当であると思われた.

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