日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈バイパス術における内胸動脈グラフトの薬剤反応性について
武内 克憲坂本 滋松原 寿昭永吉 靖弘西澤 永晃庄野 真次河野 通孝松原 純一
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2002 年 31 巻 2 号 p. 110-113

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抄録
冠動脈バイパス術(CABG)において,われわれは左内胸動脈(LITA)採取時にphosphodiesterase III (PDE III)阻害剤をLITAへ直接注入し拡張させ,攣縮を予防することで血流量を増加させるよう,工夫している.今回,PDE III阻害剤とともに,塩酸パパベリン,硝酸イソソルビド(ISDN)を用い,LITAの薬剤反応性について比較検討した.CABG 42例を対象とし,各薬剤14例において薬剤投与前後のgraft free flow (GFF)と体血圧を計測し,血管抵抗(R)値を算出した.各薬剤でGFFIは有意に増加し,R値,体血圧は有意に低下した.いっぽう,各薬剤間の体血圧変化率に有意差はなく,PDE III阻害剤はほかの薬剤よりGFF変化率が有意に増加し,R値変化率が有意に低下した.この結果より,動脈グラフトの血流量増加にPDE III阻害剤はより有用であることが示唆された.
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