抄録
術後1年以上経過した左回旋枝もしくは対角枝に橈骨動脈を用いたCABG134例を対象に術後中期遠隔成績を大伏在静脈と比較し検討した.平均観察期間は2年4ヵ月.RAは108本,SVGは42本をこの領域にバイパスした.吻合部位はRA群がPLに69本,OMに29本,DBに10本のバイパスを施行した.SVG群はそれぞれ26本,14本,2本であった.早期グラフト開存率はRA群では97.9%,SVG群では91.7%であった.術後1年ごとのTMTによる評価ではRA群では99.0%が,SVGでは90.9%が陰性であった.冠動脈造影での開存率はRA群では92.9%で,SVG群では50.0%であった.左回旋枝,対角枝に対するCABGのグラフトとしてRAは有用と考えられた.