抄録
症例は37歳女性.完全房室ブロックにて左鎖骨下にPM植え込み術の既往があった.今回,左鎖骨下generator交換後に創部感染を併発したため,左鎖骨下generator除去,右鎖骨下に新規PM植え込み術が施行された.術後2ヵ月目頃より発熱,湿性咳が出現し始め,当科に紹介入院した.心臓超音波検査で三尖弁直上のPMリードに高輝度を有し,浮遊する疣贅を認めた.胸部CT検査で両肺野末梢を中心に多発性結節影を認め,一部には空洞形成も認めた.右心系IEからSPEを合併したと考え,開心術を施行した.右房を切開し,新旧PMリードと三尖弁に付着した疣贅をすべて除去し,心筋電極を右室横隔膜面に植え込んだ.疣贅の細菌培養ではmethicillin sensitive Staphylococcus aureus (MSSA)が検出された.術後長期の抗生剤治療を要したが,肺病変も完全治癒した.感染PMの積極的除去と術後抗生剤投与で救命しえた1例であった.