抄録
心臓原発の乳頭状弾性線維腫は比較的希な心臓腫瘍である.今回,遠位弓部大動脈瘤術前検索中に,心エコー検査にて偶然発見された希な乳頭状弾性線維腫の1例を経験した.症例は64歳,男性.呼吸困難を主訴に来院.胸部CT検査,大動脈造影にて遠位弓部大動脈瘤と診断された.術前の心エコー検査にて偶然左室流出路心室中隔に径9×5mmの腫瘤を認めた.手術は脳分離体外循環下に弓部大動脈全置換術と腫瘤摘出術を行った.腫瘍の病理診断は乳頭状弾性線維腫であった.術後経過は良好で,術後1年の心エコー検査で腫瘍の再発は認めていない.