抄録
症例は72歳女性で,径12cm大の巨大遠位弓部大動脈瘤に対し,弓部置換ならびに外科的ステントグラフト内挿術を施行した.ステントグラフト内挿後,大腿動脈の拍動を触知しなかったため,axillo-bifemoral bypassを追加した.術後代謝性アシドーシスが進行し,手術終了6時間後に死亡した.病理所見では上腸間膜動脈塞栓症,大動脈解離を認め,偽腔内にステントグラフトを留置していた.本症例のような合併症を予防するためには,大動脈の形状や性状の評価,シースの材質,デリバリーシステムの改良が必要である.