抄録
腹部大動脈瘤(AAA)手術におけるアプローチ法として,後腹膜法は開腹に伴う合併症をさけるという利点をもつため,待機手術例では頻繁に用いられている.これに対し,破裂例ではその緊急性から経腹法が一般的である.しかし緊急性が高い症例ではCT検査のみで手術に臨まねばならないことが多く,動脈瘤周囲の血腫や瘤自体の形態により動脈瘤中枢端の情報を得にくいことがある.そのような症例において開腹法で安全に中枢側遮断を行えるかの判断は難しい.また破裂例で開腹した場合,循環不全と機械的傷害により術後腸管傷害を併発しやすい.今回,緊急度の高い,2例の高齢者を含む破裂性AAA3例に対して後腹膜法を用いて手術を行い,良好な結果を得たので報告する.