日本心臓血管外科学会雑誌
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Stanford A型血栓閉塞型大動脈解離に対する治療方針の検討
当施設における11年間の症例
田村 清中原 秀樹古川 仁
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2002 年 31 巻 5 号 p. 325-327

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抄録
Stanford A型血栓閉塞型大動脈解離症例の治療方針に関して検討を行った.1989年から2000年4月までに当院に緊急入院した大動脈解離症例412例のうち血栓閉塞型16例(男:女=10:6,平均年齢64.3歳)を対象とした.経過観察中に再開通やulcer like projectionを認めたP群(n=6)と認められなかったR群(n=10)との2群間で経過中のCT所見および臨床経過をretrospectiveに比較検討した.入院時大動脈最大径はP群,R群それぞれで45.00±1.78:36.00±2.16mm(p=0.0182),解離腔最大径は8.00±0.00:4.00±0.40mm(p=0.0004)とP群で有意に高値を示していた.また,1ヵ月後のCT所見ではR群において有意な縮小傾向が認められた.入院時のCTで大動脈最大径>45mm,解離腔最大径>8mmの症例,経過中解離腔縮小が認められない症例は亜急性期の手術適応を考慮する必要があると考えられた.
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