日本心臓血管外科学会雑誌
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Stent graftを用いた腸骨仮性動脈瘤の1治験例
田山 雅雄阪越 信雄安田 治正
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キーワード: 腸骨仮性動脈瘤
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2003 年 32 巻 4 号 p. 253-255

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抄録

仮性動脈瘤は破裂しやすいことから一般に早急な修復術が必要とされる.今回われわれは局所麻酔下にePTFE-covered stent graftを用いて腸骨仮性動脈瘤の治療を行った.症例は85歳男性,腹部大動脈瘤・総腸骨動脈瘤に対するY型人工血管置換術後6年目に,人工血管右脚と右内外腸骨動脈分岐部における吻合部に仮性動脈瘤を生じた.腎不全を合併した高齢者であり再手術は危険であると判断しendovascular interventionを計画した.局所麻酔下にParmatz stent®をImpra graft®でカバーしたstent graftを合成しこれを吻合部に留置した.術後1週目の造影CTで仮性動脈瘤の閉鎖を確認した.腸骨動脈領域の人工血管吻合部仮性動脈瘤に対するstent graftを用いたendovascular interventionの報告は少ないが,本手技はハイリスク症例にも施行しうる有効な治療法であり今後広く普及していくものと期待される.

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