2003 年 32 巻 6 号 p. 333-336
腹部大動脈瘤(AAA)手術症例における周術期の血中心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値の変動からみた心機能の評価につき検討を行った.AAA手術症例34例を対象とし,虚血性心疾患を合併した群(IHD合併群:22例)と非合併群(12例)の2群に分類した.ANP,BNP値を術前,術後1日目,術後2日目に測定した.全症例でANP,BNP値は術後有意に上昇した(p>0.05).IHD合併群ではANP,BNP値ともにいずれの時期でも非合併例より高値を示した(p<0.05).ANP,BNP値の変化からみてAAAの周術期には心筋への負荷が認められ,術後管理に注意を要すると思われた.