日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤術後早期のMRSAグラフト感染に対する閉鎖式洗浄ドレナージの有効性
福村 文雄安藤 廣美梅末 正芳長野 一郎朴 範子谷口 賢一郎木村 聡田中 二郎中村 権一
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2003 年 32 巻 6 号 p. 347-349

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抄録

腹部大動脈瘤術後早期のMRSAグラフト感染に対して,閉鎖式カテーテル洗浄ドレナージが有効であった2例を経験した.症例1は,71歳男性で術後11日目から高熱を認め,グラフト周囲貯留液穿刺からMRSAを検出し,CTガイド下に6Frカテーテルを留置した.症例2は,77歳男性で術後2日目から高熱出現し,5日目から閉鎖式ドレーン抜去部から排膿ありMRSAを認め,右後腹膜経路でY-graft右脚部から洗浄用チューブを留置した.2例とも0.5%ポピドンヨード液と生理食塩水による閉鎖式間欠的洗浄およびバンコマイシンの局所注入を行った.抗生剤の全身投与を継続し,2例とも約4ヵ月後に治癒退院した.それぞれ退院後2年および1年3ヵ月を経過し再燃を認めていない.閉鎖式カテーテル洗浄ドレナージ法は,腹部大動脈瘤術後のグラフト感染に対し,有用な治療法であった.

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