日本心臓血管外科学会雑誌
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術後対麻痺を合併した待機的腹部大動脈瘤の1例
鴛海 元博石井 信一長沼 宏邦墨 誠橋本 和弘
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2003 年 32 巻 6 号 p. 362-365

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抄録

腎動脈下腹部大動脈瘤手術の脊髄虚血の合併はまれで,待機例で0.1~0.2%,破裂例ではその約10倍とされるが,われわれの調べえた限りでは本邦では破裂例の症例報告が散見するのみである.今回,待機的腎動脈下腹部大動脈瘤手術にて対麻痺合併症例を経験した.死亡率が高く,またリハビリテーション以外有効な治療法がないことからきわめて重篤な合併症である.脊髄虚血の予防は,できるだけ大動脈遮断時間を短くすること,radicular artery magnaが腎動脈以下にあったとしてもほかのradicular arteryや側副血行路から十分な血流を供給できるように術中後を通じ血圧を十分保つことが重要であると考えられる.

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