日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
大動脈弁尖と大動脈壁の癒合に起因する冠動脈閉塞の1例
横山 幸房玉木 修治加藤 紀之横手 淳六鹿 雅登大畑 賀央
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 32 巻 6 号 p. 366-369

詳細
抄録

大動脈弁尖が大動脈壁と癒合し,冠動脈起始部を閉塞したと思われるまれな症例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.労作時の胸痛を主訴に入院精査された.大動脈弁狭窄,左冠動脈起始部異常と診断され手術となった.手術所見では,大動脈弁は三尖弁であったが,左冠尖が大動脈壁と癒合し嚢胞を形成していた.この嚢胞に直径約1.5mmの小口が存在し,ここから左冠動脈への血流が維持されていた.嚢胞を切開,切除すると底部に左冠動脈主幹部がほぼ正常に開口していた.大動脈弁を切除後,人工弁置換術を施行した.術後経過は良好で,狭心症状もなく軽快退院した.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top