2004 年 33 巻 1 号 p. 13-16
当施設で経験した脳分離体外循環使用症例は40例で,年齢45~79歳(平均67.2±8.1),男性29例,女性11例であった.40例のうち,緊急症例は21例(緊急群),待機症例は19例(待機群)で,緊急群,待機群につき比較・検討を行った.術式は,緊急群では,上行置換術15例,弓部全置換術5例,弓部部分置換術1例,待機群では,上行置換術2例,弓部全置換術17例で,待機群は,弓部全置換術が多かった.また,選択的脳灌流時間のみ有意差をもって待機群が長かった.在院死亡は,緊急群5例(23.8%),待機群1例(5.2%)で,脳神経障害に関しては,一過性の脳神経障害は,緊急群1例,待機群3例で,永続性の脳神経障害は,緊急群1例,待機群1例であった.われわれは,可能なかぎり体外循環の体送血を順行性とし,一貫して順行性選択的脳分離体外循環を用いてきたが,良好な成績であった.