日本心臓血管外科学会雑誌
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成人Marfan症候群に伴う僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術の1例
吉戒 勝村山 順一蒲原 啓司久松 泰
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2004 年 33 巻 1 号 p. 42-44

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抄録

孤立性僧帽弁閉鎖不全症を呈したMarfan症候群の38歳女性に対し弁形成術を施行し良好な結果を得たので報告する.20歳ごろより僧帽弁閉鎖不全症を指摘されており3ヵ月前から息切れが出現.僧帽弁後尖の著明な逸脱によるIV度の僧帽弁閉鎖不全症を認め,左室拡張末期径は60mmと拡大していた.術中所見にて僧帽弁後尖は全体的にredundantで逸脱しており逸脱部を2ヵ所,矩形に切除した.後尖が高く術後の前尖収縮期前方運動が危惧され,弁尖基部を楔形に切除し,sliding leaflet techniqueを用いて弁尖を縫合したのち,人工弁輪を縫着した.術後,僧帽弁閉鎖不全症は消失し,左室拡大の改善を認めた.現在,術後3年経過しているが僧帽弁閉鎖不全症の再発を認めていない.成人Marfan症候群に伴う孤立性僧帽弁閉鎖不全症に対しては,対象症例が比較的若年であり,遠隔期の大動脈病変に対する手術の可能性が高いため,弁形成術を積極的に施行すべきである

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