日本心臓血管外科学会雑誌
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特発性血小板減少性紫斑病,右鎖骨下動脈起始異常,大動脈四尖弁による大動脈弁閉鎖不全症を合併した弓部大動脈瘤切迫破裂の1手術例
須藤 幸雄牧野 裕村上 達哉
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2004 年 33 巻 2 号 p. 102-105

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抄録
特発性血小板減少性紫斑病(ITP),右鎖骨下動脈起始異常,大動脈四尖弁を合併した弓部大動脈瘤切迫破裂のきわめて希な1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.ITP,高血圧の治療で他院入院中に突然背部痛出現,その後血痰あり,CTで弓部大動脈瘤を認め当院へ搬送された.CTで右鎖骨下動脈起始異常を認め,弓部大動脈瘤の切迫破裂と診断し緊急的に弓部全置換術を施行した.大動脈四尖弁による大動脈弁閉鎖不全症を合併していたため大動脈弁置換術も同時に施行した.ITPは術前ステロイド療法でコントロールされていたため,術中術後のステロイドカバーと濃厚血小板輸血で対処した.術後早期は良好に経過したが,術後3週目にITPの再燃をきたし,ステロイド増量による免疫力低下のためグラフト感染をきたし,吻合部出血による喀血で術後60日目に死亡した.われわれが検索したかぎりITP患者の超低体温人工心肺を用いた大動脈瘤の手術は本邦2例目であり,大動脈四尖弁と右鎖骨下動脈起始異常を合併した症例の報告は本邦1例目である.
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