日本心臓血管外科学会雑誌
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感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術
半田 充輝高森 督鈴木 友彰安田 冬彦金森 由朗岡部 学
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2004 年 33 巻 4 号 p. 240-243

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抄録
1999年1月から3年8ヵ月間に感染性心内膜炎(IE)に起因した僧帽弁閉鎖不全症(MR)13例に対し,弁形成術を施行し良好な成績を得たので,術式,手術成績などを検討した.男女比8:5で,年齢は27~74歳(平均54±13.8歳)であった.治癒期IE(HIE)10例,活動期IE(AIE)は3例.術前NYHAはII度8例,III度2例,IV度3例,術前MRはsevere8例,moderate4例,mild1例であった.13例中の12例(92.3%)において弁形成術が可能であった.手術では感染巣を完全除去したうえで弁形成術が可能かを判断した.術中所見ではchordae ruptureを6例,vegetationを5例,chordae elongationを2例に認めた.術式はresection suture10例,ePTFEを用いたchordae replacementが7例,ring annuloplastyが12例であった.術後にLOS,呼吸不全,腎機能の悪化,脳合併症などは認めず,全例退院となった.術後NYHA分類は1例(II度)を除きI度であり,心エコー検査によるMRの程度は全例mild以下であった.現在まで感染の再燃,再手術,死亡例は認めていない.今後形成術の手技向上に伴いIEに対しても形成術は第1選択の術式に成りうると考えられる.
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