抄録
チアノーゼ性心疾患に対する最近の同種血非使用開心術について検討した.対象は,1997年1月から2003年10月までの,体重4kg以上Jatene手術8例(A群),Fontan型手術52例(B群),ファロー四徴症を伴う房室中隔欠損症(AVSD with TOF)9例(C群),人工導管を用いたRastelli手術27例(D群),TOF心内修復術108例(E群)であり,同種血非使用達成率,Hctの変化,挿管時間,術後合併症について比較検討した.同種血非使用率は,A群100%(8/8),B群94.2%(49/52),C群89%(8/9),D群85.2%(23/27)で,E群97.2%(105/108)であった.同種血輸血の要因は,体外循環後の吻合部出血と術後のドレーン出血に起因するものが多く,外科医の止血徹底が最も重要と考えられた.無輸血に起因する術後合併症の発生頻度は低く,循環呼吸動態を含めた術後qualityは良好であった.