2005 年 34 巻 4 号 p. 276-278
結核菌感染活動期に,急速に進行した収縮性心膜炎に対して心膜切除術を施行し,血行動態の改善を認めた1例を経験した.症例は60歳,男性.食欲不振を主訴に受診,胸水および心嚢水の貯留を認め入院,精査の結果結核性心膜炎と診断し,薬剤治療を行った.しかし,心不全の改善が得られず,収縮性心膜炎への移行と判断し,体外循環補助を使用せずに心膜部分切除術を施行した.術後は症状の軽快を認め,術後39日に退院した.退院後の精査では,心膜の肥厚は消失し,血行動態も改善していた.