日本心臓血管外科学会雑誌
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Jatene術後肺動脈分岐部狭窄に対するballoon拡張術に起因するtraumatic AP windowの1治験例
中村 賢森田 紀代造黄 義浩木ノ内 勝士橋本 和弘
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キーワード: Jatene術後, balloon拡張術
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2006 年 35 巻 4 号 p. 205-209

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抄録
症例は6ヵ月の男児,大血管転位症(TGA)I型の診断のもと,生後4日目にJatene手術を施行した.生後4ヵ月目,体重増加不良を認め心カテーテル施行,肺動脈分岐部に狭窄を認めたためballoon拡張術を施行し退院となったがチアノーゼ症状が頻回となり再入院となった.心エコー検査により大動脈バルサルバ洞近傍から肺動脈分岐部付近にシャント血流を,また16列MDCT所見で2カ所にわたる欠損孔を認めた.AP windowの診断のもと,手術は人工心肺を使用し,速やかに大動脈を遮断し肺動脈に切開,内腔を確認すると肺動脈左右分岐部内側面にridge状の隔壁を認めた.その隔壁を切除するとMDCTと同様に2カ所のAP windowがあり,Xenomedica patchにより欠損孔を閉鎖,肺動脈を拡大形成した.本疾患はまれな合併症ではあるが,カテーテルインターベンションのさいの合併症として,常に念頭におくべきことを痛感させられた1例であった.
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