日本心臓血管外科学会雑誌
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Buerger病に合併した腹部大動脈瘤,胸部大動脈瘤に対する1手術例
林 諭史吉田 博希杉本 泰一梶浦 由香郷 一知
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2006 年 35 巻 6 号 p. 347-350

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抄録
Buerger病に合併した動脈瘤についての報告は少なく,腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤合併例についての本邦報告例はない.今回,Buerger病に腹部大動脈瘤,胸部大動脈瘤を合併した症例に対し手術を施行し,良好な結果が得られたので報告する.患者は73歳,男性で,腹痛・嘔気・腹部拍動性腫瘤を主訴に当科を受診した.精査により腹部大動脈瘤(径58mm),胸部大動脈瘤(径47mm)を認め,腹部大動脈瘤に対し瘤切除,人工血管置換術を施行した.術後胸部大動脈瘤に対し外来通院で経過観察を行っていたが,3年間で瘤径が径60mmと拡大し,嗄声も出現したため,弓部置換術を施行した.Buerger病では四肢に末梢動脈病変を有するため,長時間の体外循環を行う場合には四肢の灌流に留意し,また,虚血時間を可及的に短縮する配慮が必要と考える.
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